【英会話入門】英語ペラペラの秘訣は文法にあり?初学者に向けた“話すための英文法”勉強法

 
 

「何年も英語を勉強してきたのに、スピーキングはまったくダメ」「単語も文法もひと通りマスターしたはずなのに、瞬間的に英語が口から出ない」 「TOEICでは点数がとれても、英会話となると苦手意識が抜けない」

英語学習に十分な時間をかけていながら、いつまでたってもペラペラにならないもどかしさを覚えている人は多いでしょう。しかしその理由を、英文法の基礎の理解とのつながりで考えたことはあるでしょうか?

そもそも文法とは、あくまで言語に対する後づけ的な説明としてつくられた理論です。文法をくまなく説明できることは、話す・書くといったアウトプットの能力と直接結びつくわけではありません。

しかし、外国語として英語を学ぶ人たちが初学者〜初級を抜けるぐらいまで、つまりアウトプットよりもインプットを重視すべき段階では、文法の知識によってインプットの質と学習効率が担保されます。英文法の勉強は、この意味において重要であると考えられます。

そこで今回は、英語が自然な語順で話せるようになる基礎固めとしての、文法の基本的な考え方をご紹介します。英語がペラペラになるまでの第一歩を、基本に立ち返ることから踏み出しましょう。

<目次>

単語の並べ方のルールとしての英文法

初学者の英語ペラペラ入門

  1. 英語文を構成するもの Sentence Structures

    1. 主部と述部 Subject and Predicate

    2. 英語文の4つの要素 4 Components of a Sentence

  2. 英語文の種類 Kinds of Sentence

    1. 平叙文 Declarative Sentences

    2. 疑問文 Interrogative Sentences

    3. 命令文 Imperative Sentences

    4. 感嘆文 Exclamatory Sentences

  3. 英語文の5つのパターン 5 Sentence Patterns

    1. <主語+動詞>型 S V Pattern

    2. <主語+動詞+補語>型 S V C Pattern

    3. <主語+動詞+目的語>型 S V O Pattern

    4. <主語+動詞+目的語+目的語>型 S V O O Pattern

    5. <主語+動詞+目的語+補語>型 S V O C Pattern

まとめ

単語の並べ方のルールとしての英文法

英語ペラペラになるのに文法はいらない?

英会話を学ぶうえで、「スピーキングと英文法は関係がなく、とにかく多く話す練習と習慣が上達のコツ」といったアドバイスがよく聞かれます。しかし、それで文法を筆記テスト対策と捉えてしまい、学校で習った「英文法」が「会話すること」に結びつきにくいのが実情です。

言い換えれば、授業で時間をかけて習った文法は知識レベルにとどまっているだけで、「英語を話す自分のスキル」につながっていないのです。

単なる知識としてではなく、話すための英文法を心がける

英文法とは、複数の単語がかたまりとして意味をもつための「単語の並べ方のルール」といえます。また私たちのように外国語として英語を学ぶ人たちにとっては、英文法の基礎知識をおさえておくことで、英語学習のインプットの質と効率が担保されることになります。初級を抜けるぐらいの、まだアウトプットよりもインプットを重視すべき期間では、英文法はこの役割を果たすと考えられるのです。

したがって、スピーキングに慣れることはもちろん大事ですが、ネイティブでない一定年齢以上の初学者にとっては、英文法の基本も知っておくことが重要です。中学1、2年生時で習う英文法を、知識レベルにとどめるのではなく、「英会話学習の骨組み」にしていく必要があります。

何年勉強しても英会話が苦手という人の多くは、この土台となる英単語力や英文法の基礎が不足していることで、英語学習のインプットが非効率であり続け、アウトプットがまとまりに欠けているのでしょう。

生きた英語の例文のなかで文法を身につける

英会話力を初心者レベルから引き上げるには、基礎となる英単語や英文法の知識を確固としたものにしたうえで、次に実際のコミュニケーションを通して豊かな表現に慣れることが必要です。

そのためにも、英文法書や構文集、表現集の例文やフレーズを大事にし、表現パターンとして自分の中にたくわえ、実際に会話練習で使ってみることが大事です。文法を生きた英語の中で活かしていけるかが、ペラペラの英会話力への鍵となります。

英文法を勉強するうえでは、まず英文がどんな仕組みのうえになりたっているかを理解することが大事です。以下の例文を参考に、文法の基本を再確認しましょう。

なお、緑字の英語例文については、クリックするとNHKの語学サイト「ゴガクル」に飛び、それぞれの発音を練習することができます。

【初学者の英語ペラペラ入門1】英語文を構成するもの

英語の文は基本的に、4つの構成要素(主語、動詞、補語、目的語)と、これらに意味を加える修飾語からなります。

主部と述部 Subject and Predicate

通常の英文の中で、「〜は、〜が」にあたる部分を主部と呼び、「〜である、〜する」にあたる部分を述部と呼びます。

We've heard a lot about you. わたしたちはあなたのことをたくさんうかがっております。

例文でいうと、We主部have heard a lot about you.述部となります。

英語文の4つの要素 4 Components of a Sentence

主語 Subjects

主語とは、「〜は、〜が」にあたる主部の中心になる語で、文の主題となる、ある動作をする主体のことをいいます。

主語になれるのは、名詞・代名詞です。名詞の働きをする「句」や「節」が主語になることもあり、下記の例のようにさまざまな形をとります。

1) That happens all the time. (それはよくあることよ。)

2) The rich are not always happier than the poor. (金持ちが貧乏人より常に幸福とは限らない。) The unknown makes us disturbed. (未知なものは人を不安にさせる。)

3) To smoke too much is bad for the health. (タバコの吸いすぎは健康に悪い。) Playing tennis is much fun. (テニスをするのは非常に楽しい。)

4) What's done cannot be undone. (すんでしまったことはどうしようもない。)

上記3)の to smoke too much のように、2つ以上の語のかたまりが名詞、形容詞、副詞の働きをするものを「句」と呼びます。

上記4)の what’s done のように、それ自体で文の機能<主部+述部>を持っていながら、より大きな文の一部をなしているものを「節」と呼びます。

動詞 Verbs

動詞とは、述部の中心となって主語の動作や状態を表す語です。目的語をとる動詞は他動詞、目的語をとらない動詞は自動詞、と区別されます。

I sleep. (私は眠ります:自動詞) I like trying new things.(私は新しいことに挑戦するのが好きなんです:他動詞)

目的語 Objects

動詞が表す動作などの対象となる語を目的語と呼びます。日本語では「私は魚を捕まえた」のように、「を」という助詞をつけて表されることが大半ですが、英語には助詞がなく、I saw him yesterday.(私は昨日彼を見た)の him のような「目的格」の形を使って表現します。

目的語になれるのは、名詞・代名詞です。目的語はさまざまな形をとりますので、以下の例文でしっかりと確認してください。なお、主語になれるものも名詞・代名詞でしたが、-self/-selves がついて「~自身」を意味する再帰代名詞は目的語になれる一方、主語になることはまれである点に注意しましょう。

1) My legs need some stretching. (脚をちょっと伸ばさないと。)

2) We should not despise the poor. (貧しい人を軽蔑すべきではない。)

3) He has just finished reading the book. (彼はちょうどその本を読み終えた。) She needs to go to Tokyo soon. (彼女はすぐに東京に行く必要がある。)

4) I'll ask her whether she can come to the meeting. (彼女に、ミーティングに来られるかどうかたずねよう。)

5) We enjoyed ourselves last night. (私たちは昨晩楽しく過ごしました。)

補語 Complements

I am. や We call him. だけでは文として完結せず、I am a teacher. や We call him Ken. などの語句を置いてはじめて文がなりたちます。このように、主語や目的語が「どういうものなのか」または「どういう状態にあるのか」を説明する語句を補語と呼びます。

補語にはa teacher のように主語の状態を説明するものと、Ken のように目的語の状態を説明するものの2種類があります。

1) The sky stayed cloudy all day. (空は一日中曇っていた。)

2) Your smile makes me happy. (あなたの笑顔を見ると、私は幸せな気持ちになります。)

【初学者の英語ペラペラ入門2】英語文の種類

英文はその内容によって以下のように分類できます。

平叙文 Declarative Sentences

相手に伝えたい情報をありのまま述べる文を平叙文といいます。

Fashion changes over time. (流行は時代とともに変わる。) I have two younger sisters. (妹が2人います。)

否定文 Negative Sentences

平叙文のなかで、not を用いてそうでないと打ち消す文のことを否定文と呼びます。be動詞を含む場合、be動詞以外の動詞を含む場合、助動詞を含む場合のいずれかによってその形が異なります。

・be動詞を含む場合、<be動詞 + not>という語順になる I'm not much of a big eater. (僕はそんなに大食いではない。)

・be動詞以外の動詞を含む場合、<do/does/did not + 動詞の原形>という語順になる I don't agree either. (わたしも賛成ではない。)

・助動詞(can, willなど)を含む場合、<助動詞 + not + 動詞の原形>という語順になる I can’t get the lid off. (ふたが開かないよ。)

疑問文 Interrogative Sentences

疑問文は、その名のとおり、何かを聞いたり質問したりするときに使う文です。Yes/No疑問文と、疑問詞を使った疑問文があります。

Yes/No疑問文 ・be動詞を含む場合、主語と動詞をひっくり返す Are you hungry? (あなたはお腹が空いていますか?)

・be動詞以外の動詞を含む場合、という語順にする Do you have a bigger size? (もっと大きなサイズはありますか?)

・助動詞を含む場合、という語順にする Can I have the same thing? (同じものをもらえますか?)

疑問詞を使った疑問文 who(だれ), what(なに), when(いつ),which(どっち), where(どこ), why(なぜ), how(どのように)を疑問詞といい、具体的な答えを聞くときに使います。

・疑問詞が主語になる場合、 という語順になる Who is the best fortune-teller here? (ここで一番の占い師は誰ですか?)

・疑問詞が主語でない場合、という語順になる Where can we exchange currency? (どこで両替できる?)

命令文 Imperative Sentences

相手に何らかの行動を直接求めるときに動詞の原形で始められる文を、命令文と呼びます。命令文の特徴は、主語がないことと現在形であることにあります。

肯定の命令文 普通の命令文は、動詞の原形ではじめます。

Be serious. (まじめにやってよ。)

否定の命令文 禁止の意味を表す否定の命令文は、の形を用います。be動詞の場合でも、文頭に Don't を置きます。

Don’t jump ship yet. (まだ今の仕事をやめて、別の会社に行くのは早いよ。) Never mind the cake. (ケーキのことなんて気にしないで。) Don't be so nosy. (そんなに詮索しないで。)

感嘆文 Exclamatory Sentences

感動したときや、何かを強調したいときに使う文の形が感嘆文です。通常はHowやWhatで始まり、感嘆符(exclamation mark)で終わります。

・形容詞・副詞の意味を強調したい場合は how を使って、という語順にする How beautiful this mountain is! (この山はなんて美しいんだ!)

・<形容詞+名詞>の意味を強調したい場合は what を使って、という語順にする What a beautiful mountain this is! (この山はなんて美しいんだ!)

【初学者の英語ペラペラ入門3】英語文の5つのパターン

英語の文は、入門1でみた主語(S)、動詞(V)、目的語(O)、補語(C)の4つの要素を使うことで、基本的に次の5つのパターン(文型)にわけることができます。

<主語+動詞>型 S V Pattern

The news spread quickly through the company. (そのニュースはたちまち社内に広まった。)

主語(S)と動詞(V)だけで成立するもっとも簡単で単純な構造です。ただし、主語と動詞だけで意味を表すことは少なく、上のように場所や時を表す情報を加えることが多いです。動詞と目的語がセットではないと文章が成立しない他動詞は、この文型を取ることができません。

<主語+動詞+補語>型 S V C Pattern

Patience is his strength. (我慢強さが彼の強みね。)

主語(S)と動詞(V)に補語(C)が加わることで、主語の状態について説明しています。動詞には be 動詞、 become や feel といった状態動詞、五感を表す動詞がくるのもひとつの特徴です。またこの文型の注意点は、補語になるのは名詞・代名詞、形容詞で、主語と補語は等しい関係(S = C)になることです。

<主語+動詞+目的語>型 S V O Pattern

He does the work of three men. (彼は3人分の仕事をする。)

ひとつめのパターンに、動詞(V)の対象となる目的語(O)が追加された形です。この文の動詞はすべて他動詞となって目的語を必要とし、「~を、~へ、~に」という意味を含みます。

<主語+動詞+目的語+目的語>型 S V O O Pattern

He gave me a camera. (彼は私にカメラをゆずってくれた。) My father tells me a nice story. (父は私に素敵な話をしてくれる。)

目的語をふたつ取るこのパターンの動詞(V)はgiveに代表されます。動詞の後に目的語(O)をふたつ続けることで、ものや情報などの「何か」が「誰か」のところに移動することを表します。また、最初の目的語が「人など」、最後の目的語が「ものなど」という順番になります。

give以外の同様の動詞としては、ほかにhand, lend, send, show, teach, tell, buy, cook, find, get, make, orderなどが挙げられます。

<主語+動詞+目的語+補語>型 S V O C Pattern

We can buy something useful. (なにか役に立つものを買えますね。)

このパターンの目的語(O)の後には、その目的語について説明する補語(C)が続きます。補語になるのは名詞か形容詞です。

ひとつ前のSVOO型とこのSVOC型を見わけるには、動詞の後ろのふたつをbe動詞で結べるかどうか、つまり「目的語(O)= 補語(C)」であるかどうかを確認してください。この場合のように、「something = useful」がなりたつのが、このSVOC型のポイントです。

例文をもうひと組見てみましょう。

A:She made me a dress. B:She always makes me sad.

このふたつの文は同じmakeを使っていますが、例文Aは「me ≠ a dress」なのでSVOO型であるのに対し、例文Bは「me = sad」と「目的語(O)=補語(C)」の形を満たしており、SVOC型であるといえます。

英語ペラペラになる土台を築いたら、コミュニケーションの実践に活かそう

以上、中級までの英会話学習の土台となる英文法の基礎をまとめました。あらためて見直すことで、初学時の新鮮な感覚を取り戻せたのではないでしょうか。

しかし冒頭で説明したように、英文法はインプットの質と学習効率を担保するものであり、中級者以上はこれらをふまえてスピーキングなどのアウトプット学習を重視するべきでしょう。スピーキングを上達させるにはシャドーイングなどの方法があり、シャドーイングの詳しいやり方については別エントリの【英語の発音】英語が伝わらない日本人のための発音矯正法3選をご参照ください。

もっとも大事なのはたゆまぬ継続なので、スピーキングの練習も続けられる工夫をすることが大事です。効果的な方法として、相手を見つけ英会話の練習を積むことが挙げられます。

またテラトークなどのように、自動応答する人工知能(AI)と対話できる英会話アプリでは、さまざまなシチュエーションに沿った英会話が実践できます。どこでも時間が空いたときに活用できる手軽さに加え、どんなに失敗しても恥ずかしくない気軽さが魅力です。iOS(iPhone・iPad)をお使いの方はこちら、Androidをお使いの方はこちらからダウンロードできます。

基礎的な文法をおさえたら、自分に適した方法でモチベーションを保ちつつ、日々のスピーキングの勉強を重ねていきましょう。

<参考文献>

「中学・高校6年間の英語をこの1冊で復習する」(稲田一著/株式会社KADOKAWA)

「英文法総覧」(安井稔著/開拓社)

「文の構造」(立石浩一、小泉政利著/ KENKYUSYA)

「総合英単語Forest」(石黒昭博監修/桐原書店)

「スコア730をとるためのTOEIC英文法」(木村恒夫著/語研)

<参照URL>

https://gogakuru.com/english/phrase/genre/10_英語の基礎.html?pageID=4&orderPhrase=0&layoutPhrase=0&perPage=50&flow=enSearchGenre&condGenre=10

http://manapedia.jp/text/1506 http://www.ravco.jp/cat/view.php?cat_id=4303&PHPSESSID=5uebj9ml6r0l516se91rbgru95

Yoshiyuki Kakihara